グレフルフレーバー
「体力には自信あるんですけど、マネージャーも体力勝負ですね」
みづきはそう言って、最後のタオルをパン、とはたいてシワを伸ばすと、ハンガーに掛けた。

「でしょー?結構人数も多いからね」
カオルは猫のような気の強そうな目をくるりとまわして言った。そして不敵な笑みを浮かべて続ける。

「今年の一年は何人残るかしらね」

バスケ部は、その練習のきつさから、毎年入部した一年生が半年で半分は辞めてしまうのだ。

「相原君と坂崎君は残りますよ!」

みづきは鼻息を荒くしてカオルに言った。それを見たカオルは一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐにニヤニヤと笑った。
「長谷川さんの期待の星?」
「そんなんじゃないんです。辞めてもらっちゃ困ります」

みづきがそう言って、遠くの山の峰々に視線を向けると、カオルも同じ方へ視線を向けた。

「そうね」
< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop