グレフルフレーバー
 それから二週間後、和也達一年生は新しいユニフォームを配られた。部員達はそれぞれ、自分のユニフォームを着てみたり、感慨深げに広げて見たりしている。渡来はそれを満足そうに眺めた。

「ポジションはまだないが、これでお前らもこのバスケ部の一員だっていう実感が湧いてくるだろ?」

一年生達はその言葉を聞いて、更に気持ちが高ぶった。


 渡来の作戦が功を奏したのか、3ヶ月が過ぎても、退部する一年生は一人も出なかった。

 そして、バスケ部は県大会に出場した。一回戦は渡来達と同じく、IH出場を悲願としている高校だった。

「今年こそIHに出場するのは俺達だ、渡来」
スタメンの三年生が渡来にそう言った。渡来は強く頷いた。
それを少し離れた場所から見ていた敏男は、彼等の姿に、少し未来の自分を重ねて見た。
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