先生、嫌いです
「亜美ね、中学生の時好きな先生がいたの。好きというよりは憧れの先生って感じかな」
神崎は黙って聞いている。
「それはもう…暇さえあれば先生、先生って話に行って。先生も亜美の事を気に入ってくれてる感じだった」
今の亜美からは考えられない行動だ。
「毎日のように私に先生の話をしていたんだけど…いつの頃からか言わなくなった。その時は飽きたのかな?って思ったんだけど…」
「なんていうか…いつも上の空で。明らかに様子がおかしかった。どうしたの?って聞いても何も言わなくて…」
「ただ笑って…何でもないよって…。それでも気になって、何度も何度もしつこく聞いたら…」
「亜美は泣きながら…先生に…先生にいたずらされてるって…嫌だって言ってもやめてくれないって」
神崎は拳を握りしめた。
行き場のない怒りが込み上げてくる。