モノクロ
いつものように、夕日を見ながら10分間電車に揺られて家に着く。
「…ただいま。」
あたしは、脱いだローファーを揃えて玄関の隅に置いた。
リビングに入ると、ママがちょうど出かけるところだった。
「あ…涼子おかえり。」
「今日夜勤だっけ?」
あたしはソファーにかばんを置いて、マフラーをとりながら言った。
ママは、近くの大学病院の看護師で、副師長をしている。
あたしが小さい頃はあたしが体が弱かったこともあって、日勤がほとんどだったけど、中学から夜勤が多くなった。
だからすれ違いや一人で過ごす日も多々ある。