青碧の魔術師(黄昏の神々)
「何をしている? ロイ。白身魚、食べるんだろう?」


シュリは振り返ると、ロイが登って来れるように、笑って腕を差し出した。

それを見てロイは、弾ける様に駆け出し、シュリの腕を登り、肩の上に腰を下ろした。


「シュリ、シュリ!!」

「なんだ?」

「朝ご飯に、出発〜っ!!」

ロイは、にぎやかな声で歌う様に話すと、自分が座る反対側のシュリの肩を尾をしならせて、ペンベンと叩いた。









食事をとって数分後、一人と一匹は、街へと繰り出していた。

今日が祭の前夜祭で何の祭かをシュリは、宿屋の孫娘であり、食堂の看板娘でもある、ラピスと言う少女から聞き出していた。


「今日は、この国の姫様イシス様の18歳の誕生日なんですよ。毎年こうやって盛大な祭を開いて、誕生を祝っているんです」


そうラピスは満面の笑顔で言った。

今年は姫君も結婚適齢期。

この祭で、嫁入り先が決まるのではないか、と人々の口にのぼっていた。


『―俺には、関係無いけどな……』


人込みの多い通りを誰に当たるでも無く、するりと縫って歩くシュリ。

これだけ賑やかなのだから、普段でも活気があるのだろう。


『さすが王都だな……』


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