先生

好きのはじまり

「あやか」
先生はあたしを名前で呼ぶ。
それは、あたしが所属していた部活の顧問が先生で、その部活にあたしの妹も入っているから、名前を呼ぶときまぎらわしい。ただそんだけの理由。
でも、それでもあたしは嬉しかった。
あたし以外に、下の名前で呼ばれている人はいない。
ちょっとした優越感と期待があった。
先生にとって自分は特別なんじゃないかって思えた。
「先生今日部活くるー?」
あたしは先生に敬語を使わない。いや、使えない。
先生っていう感じがしないからかな。
でも先生はあたしが敬語を使わないことに何も言わない。

そういえば、前に言っていたっけ、「おまえらみんな、妹みたいなもんや」って。
その時は、あたしも先生の事お兄ちゃんみたいな存在に感じていたし、何も思わなかったけど、今あの言葉を思い返すと切な過ぎて涙が溢れてくる。
あたしが先生をどんなに想っても、親しくなっても、妹って存在以上にはなれないってことを改めて突き付けられているみたいで。
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