先生
彩花がその噂を聞いたのは文化祭を三日後に控えたある日の放課後だった。

その日も彼女は部活を手伝いに来ていた。今日は友達で、部活も同じだった百果と佐恵子も一緒で、いつもより楽しく練習の手伝いをしていた。
部活を終え、後輩達と部室で着替えているとき、百果が何かを思い出し、あたしに尋ねてきた。
「あ!なあなあ彩花、聞いた?」
「え?なにが?」
「西本先生と美羽ちゃんのこと」
突然出た先生の名前に、彩花の心臓は早くなる。
でも“西本先生と美羽”という言葉が気になった。
「え?なにそれ?」
嫌な想像が頭によぎった。
西本先生と美羽がなんなの?

「あ!それ知ってますー!」
あたしが首を傾げたとき、話に入ってきたのは2年の亜佑美だった。
話を聞けば、西本先生と美羽のことは学校全体で噂になっているらしい。もちろんバレー部みんな知ってるいて、何も知らないのは彩花だけだった。
「彩花、ほんまに知らんだん?」
百果が信じられないというような表情で彩花に聞いた。
「、、、うん」
彩花は小さく頷いた。



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