先生
「俺今日は出張やから部活顔出せれやんわ」
先生は苦笑いをして彩花を見た。
「そっか、、、。」
先生が部活に来れないなら、彩花が今日先生と会えるのはこれで最後。
放課後、部活で先生とまた会えるのを楽しみにしていた彩花はシュンとして答えた。
でも、すぐに笑顔に戻す。自分の気持ちを知られないように。
「わかりましたっ!出張なら仕方ないもん。先生の代わりにはなれへんけど、あたしなりに頑張って手伝うわ(笑)」
彩花の言葉に、笑顔だった先生の顔が少し真剣になった。
そんな先生に、彩花の心臓は大きく音を立てる。
「いつもありがとうな、練習手伝いに来てくれて。明日はちゃんと行けるから。」
・・・そんな真剣にいわれたら、照れてまうやん。
照れ隠しに、わざとふざけた口調で返事をすると、先生は笑って「んじゃ、俺もう行かなあかんから」と、職員室に入っていってしまった。
彩花はその姿を見えなくなるまで見つめていた。
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