先生
暗い学校はとてつもなく怖い。
一刻も早く出たい。
靴を急いではきかえる。
玄関を出ると、冷たい風が頬に突き刺さった。
「さむっ」
彩花はダッシュで学校の裏に向かった。
でも、そこにはお母さんの車はなかった。

あれ?おかしいな。

彩花はカバンに隠し持っていた携帯を取り出した。
待受画面には“受信メール一通”の文字。
開けると、やはりお母さんからで、学校の玄関前で待っているというメールだった。
暗い上に、ダッシュでここまで来たから、玄関の前にとまっていた車なんてまったく気付かなかった。

玄関まで戻らなきゃ。

戻ろうと、足を動かした時だった。

彩花がさっき来た、体育館の横の通路から足音が聞こえる。

彩花は立ち止まった。

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