ホワイトデーの復讐



「んで?どう落とし前つけてくれんの?」

『オトシマエ?』



そ、そんな借金取りみたいな…



「どんだけ待ったと思うんだよ」

『い、1ヶ月?』

「10年」

『じゅっ…』

「最初っから好きだったんだって」



そ、そういうのサラッと言わないでよ……


涙腺が……


うん、崩壊した。



『ふっ…ふぇっ…』

「泣き顔、勘弁なって言ったのに…」



そんなこと、気にしてられなかった。


彰に想いが伝わったことが、彰があたしを想っていてくれたことが。


とてつもなく嬉しくて。


あたしは彰にしがみついて、その存在を確かめながら、泣いた。



「紗也」

『う…?』



頭上から降ってきた声に、顔をあげる。



「上目遣いになってる」

『そんなこと言われたって…』



あんた、成長しすぎなんだよっ!



「ここ、どこ?」

『え?あ、彰の部屋?』

「の?」

『ベッドの、上』



あ…ヤバい…?



「状況、確認できた?」

『はい、ごめんなさい』



あたしは、ベッドから降りるために彰から離れようとした。



『……彰くーん?』



でも、いつの間にか背中に回った彰の腕にしっかりと抱き止められてて、抜け出せない。



「……お前さ、ホワイトデーに復讐するって、言ってたよな?」

『言ってた…ね?』



まぁ、あれは勘違いと偶然が引き起こした事故だから、もう復讐なんて必要ないけど。



けど!


……今、悪寒がしたのはきっと気のせい……





「俺もお前に復讐する」

『…え?』

「10年間、待たせた復讐」



そう言って、ニヤリと笑った。



気のせい、じゃないみたい。



『…え?マジで?』










これは、バレンタインデーに


あたしがつまみ食いした、


1つの毒入りチョコレートで


気づかされた恋───…




fin.




< 44 / 45 >

この作品をシェア

pagetop