僕らのミライレンサ
あと、少し…そう、あと少し。
______________ゴロン。

足を持ち上げ思い切り身体をひねると、反動でうつ伏せになった。少し勢いを付けすぎたか胸の当たりが少々痛んだが、今はそれよりも喜びのほうが大きい。

うぉぉぉぉぉ!世界が変わったぁぁぁ!!!
これで仰向けばかりの生活とはおさらばである。今の自分になにができるか、なんて簡単だった。そう、鍛えればいいのだ。こんな貧弱な身体でも鍛えればこうして成果が出る。なんだ、やはり簡単だと思ったのも束の間…戻れない。

足を高く上げても短いがゆえ、ひねりを入れても布団に足がつかない。元の姿勢に戻れない!!!


「旬く~ん?」
(あ!香菜(かな)ママさん!!ナイスタイミング!!)


香菜(かな)ママさんの姿を見つけ助けを求める。が、どうも反応がない。


「きゃぁ~♪旬くん、寝返りができたのぉ!!」
(すげーだろ?頼む、頼みますちょっと息苦しいので戻してくれ!!)


バタバタと手を動かし、今に至る状況を説明しようと試みるが

「待っててね♪今、カメラ持ってくるから!」
(は!?待って、待って!!またやるからぁ!!!)


赤ん坊なら人の手を借りないと生きていけないのは自分だってよくわかっている。でも俺だってそのくらい、自分で…


「旬くん!上手、じょーず!!」


こんな事くらい、


「たくさん食べて大きくなろうね♪」


こんなんじゃ…いつになったら季恵(きえ)と会えるんだ!!!
半年、1年…2年。月日は流れ成長もし大きくなるも、彼女への道は果てしなく遠い。このままでは忘れられてしまうのではないか、早く、早く
_______…会いに行きたいのに。


「______…はっ!!!」


勢いよく布団を払いのけ飛び起きる。…ゆ、夢か。
東の窓から朝日が差し込み、今日も天気がいいのだとわかった。


「旬くん、おはよう」

「あ…おはよう」
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