恋するシンデレラ




稽古3日目。




神林さんが何を言ってくるかと待ち構えていたのに、
神林さんは私の前を通り過ぎた。





・・・・あれ?



稽古中に台詞について聞こうとしても、私を見るなり離れる。



神林さんとの距離が近くなれば、すぐに避けられる。







どうやらひたすら無視する作戦らしい。



合わせ稽古が終わり、

また2人組の練習になったので、優斗に声をかけようとしたら
神林さんがピッタリとくっついていた。






「神林さん。

ペア組めないんですが。」




・・・・無視。



カッチーン。

そんなあからさまな態度をとられれば、さすがにイラっとするわ。






「神林さん。

いい加減に・・「神林。暑い」


思わず怒りそうになっていれば、優斗に遮られた。




「そうだったの?

言ってくれればいいのにー。」




今まで聞いたことないような甘ったるい声。




・・・・この人は恥ずかしくないのだろうか。



そんな神林さんの行動に、ある意味尊敬してしまう。




私は、あんなに甘えること出来ないし。





「今は練習の時間だろ?

ペアのとこ行けよ。」



なるべく相手の気持ちを逆撫でしないように、オブラートに言う優斗。

見習なきゃなぁ。





神林さんは、

『そうだよねっ。

じゅあー、また後で。』




と、ありえないくらいの優しい表情で去って行った。




・・・・ふぅ。



心の中でため息。



台風のようで、ちょっと疲れてしまう。







「ふー。

裏表あるなー、あいつ。」



ん?



「あいつって。

神林さんのこと?」



「うん。

俺、ああいう奴といると疲れちゃうんだよな。」






台本を広げ、メモをし始める優斗。








「あー。わかる、かも。」







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