恋雨多 〜koiuta〜

他人恋

何気なく見てた
その人は
スーツ姿で空いてた席に座った
左手の薬指には光る指輪
その人は
時計をちらっと見ながら立って
誰かを待っていた
少しうろつきながら立つ姿に
僕は理想を抱かせた

その時
おしとやかそうな
でも大人の人と感じさせるような
その人は
少し走りながら
スーツ姿の人の隣に駆け寄った

朝、家を出た人と
それを見送る人
二人はきっと
ドラマのように待ち合わせをして
今にたどり着く
二人は僕の理想となった

でも本当のことは
その二人にしかわからない
もしかしたら
二人も本当のことは
知らないのかも知れない
< 30 / 37 >

この作品をシェア

pagetop