最後の春
「長野?長野美樹を知ってるんですか?」

予想だにしなかった答えで裕と長原はベンチから立ち上がった。その様子を見ていた土田は

「長野ってさっき聞いた泉ちゃんの片思いだった人?」

裕は黙って頷くと

「あなたと長野はどんな関係なんですか?」
「美樹の話をする前に色々話さないといけないみたいだね」

「みっちゃん」はそういうと説明を始めた。名前は宮田千夏だということ、今日は用事があって弥生町にやってきたということそして、長野とは中学のときの同級生だと言うことを説明してくれた。

「宮田さん、今の長野のこと知ってるんですか?」

裕が聞くと

「中学のときは毎日のように遊んだりしてたけど別々の高校に入ったから遊ぶ機会が少なくなってきちゃったんだ。それから去年の夏に引っ越したみたいで残念ながら今はどうしてるかわからないんだ。」

宮田は首を左右に振りながら言った。

「でも、卒業アルバムとか見させてもらった事あるから今日見かけたときにすぐに君だとわかったよ。」

そういうと笑顔を見せた。裕はモッツァでのやり取りでの顔からは想像できない笑顔にただ見つめることしかできなかった。
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