天使への判決

2.不器用な男



あーー!!もう!!

「勘弁して下さいよ米田さん!
なんでいつも月末ギリギリに書類を回してくるんですか!」

「ごめんよ、リサちゃん。今度飲みに連れて行くから勘弁してよ」

滴り落ちる汗をハンカチで拭きながら、営業の主任が脂性の髪の毛をボリボリ掻いて申し訳無さそうに目を細めて近づいてくる。

私は思わず仰け反った。

「いや!飲みとか!
そんな事はいいから!もっと早く書類を回して下さい!」


翌日、私のイライラは頂点に達していた。

私とユウコが配属されている経理事務は、月末が近づくと、営業が遅れて回してくる書類の処理に毎月追われるのだ。

パソコンの横に次から次に積まれてくる書類の山…

入力しても入力しても、いっこうに減る事のない伝票に、思わず気が遠のきそうになってくる。


「おう、松山!これも頼むぞ!」

その声と同時に、さらに目の前に山のような書類が置かれた。


「ちょっと!いい加減に…!」

そう言いかけて立ち上がろうとした私を、隣のユウコが慌てた顔で見つめる。

!!

専務…!


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