見えない罪と、月
「セリル君……っ! 来ちゃ駄目!」


男達はイレイス。この中にはセイルを襲った人間もいるだろう。

セイルの瞳は怒りで燃えていた。セリルにとって愛する者であるセイル。

そしてそのセイルが幸せにしたいと願う女性ルシェ。

この2人の人間が傷つき危険な目に曝されているのだ。怒らない筈がない。


「兄貴がいない所を見ると、くたばったって所か?」


ニヤニヤと腹ただしい笑みを浮かべるのは、折れた柱に座る男。

他の男達よりも若く見えるが恐らくは1番権力があるだろう。

セリルは怒りが爆発しそうになる。勝手にセイルに怪我させておいて笑うとは。


「てめえ、よくも…………!」


此処までは知ってきた疲れは何処へやら、セリルはその男に向かって走り出した。



4.rage end.
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