そして海の思い出を胸に
「調子いいんだ」
怒る気にはなれず、私はそう言った。
「それだけが……『だけ』は余計か……まぁ、とにかく、調子がいいのが俺の長所の1つだからな」
『短所の間違いじゃない?』っていつもの様に言おうと思ったけど、声にならなかった。
「私、そろそろ合宿所に戻らないと……」
体育館の時計が17時を示していたのが目に入ると、私はそう言った。
思っていたより時間が経っていなくて、少し、ホッ、とする。