遠距離恋愛-メールで繋ぐキモチ-



主語もないそのメールに、陸は理由も聞かずに謝った。


……ううん。

理由を、きっと気付いてるから謝ったんだよね?


陸を責めたいわけじゃないのに

謝ってほしいわけじゃないのに……


この寂しさを誤魔化す言葉が、見つからない。


謝る陸は、きっとあたしと同じ気持ちなんだよね……?


だったら――――……

せめて素直な気持ちを言葉に。



20XX/10/02 21:24
To.陸斗
Sub.
――――――――――――

やっぱり、

陸に会いたいよ。

――――――――――――



20XX/10/02 21:29
From.陸斗
Sub.
――――――――――――

俺も。

ひなに会いたい。
ひなに触りたい。

――――――――――――



20XX/10/02 21:32
To.陸斗
Sub.
――――――――――――

えっち。

――――――――――――

20XX/10/02 21:37
From.陸斗
Sub.
――――――――――――

なに想像したんだよ。

エロひな。

――――――――――――

20XX/10/02 21:43
To.陸斗
Sub.
――――――――――――

違うもん!!(>□<)

――――――――――――





素直な気持ちを言い合って、笑い合う。

二人分の寂しさが、電波の間に積もってた。


拭いきれない寂しさは、触れあわなくちゃ消し去れない。


それを分かってるから、せめて二人して笑ってた。


でも……きっと、陸も笑えてないね。

文字だけテンションの高いメールは、逆効果だったのかも。


ディスプレイを見つめる陸は、きっとあたしと同じ顔してる。

それが伝わってきて、あたしの胸は、二人分、ぎゅうっと締め付けられた。



陸が恋しくて

陸に触れたくて

陸に抱き締めて欲しくて……


胸が痛い。

胸が、痛いよ――――……





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