禁断トライアングル

傷の連鎖

部屋に向かう。


思わず、先に階段を上る結弥をにらみそうになる。


また、お兄ちゃんを独り占めにした。


私、結構キツイの。


お兄ちゃんが他の人に向けた笑顔を見るのは。


特に、相手が結弥だと、ね。



「ねぇ、結弥」


言いながら、鍵を静かに閉めてる自分が怖い。


「な、に?先輩……!」


「なに、じゃないわよ。どうして結弥なの?私にはあんな顔……」


向けないのに。


気づけば、結弥をベッドに押し倒して、首を絞めてた。強い力で。


「くっ……るしぃよ……先輩っ!!」


叫んだのだろうけど、結弥の声は、かすれていて小さくて、ほとんど聞こえなかった。


それで、ハッと我に返った。


「あ、わ、私……」


ケホッ、ケホッと、首をさすって起き上がる結弥が、目の前にいる。


潤んだ瞳に、自然と身体が動いて、結弥を抱きしめる。


結弥の体が、カタカタと震えてた。捨て犬みたいに。


「ごめん、また私……」


結弥が、あやまらないで、と、小さくつぶやいた時、ノック音と、大好きな声が聞こえてきた。
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