機械魔法伝
 一方、キルは2人とは違って、こんな寒さね中でもピンピンしていた。バカは風邪をひかないというのは本当なのだろう。

 キルは氷の上を楽しそうにスキップしていた。


「あれー?2人共どうしちゃったワケ?」


 ライはキルの事を横目で睨みながらも、寒さで弱る体でこう答えた。


「寒いんだよ…。そう言うキルは寒くないのか?」

「あたしは妖精だから寒くありませーん!妖精って最高ねっ!」


 キルはその後、クルッと一回転してみせた。


「…凍り付けになって死ね」


 そう言うと、ガイはローブのフードを頭にかぶせた。これで頭からの冷えは少しマシになるだろう。


「でも本当にこの寒さは応えるね。ライ君、一回自然発火して氷を溶かしてみてよ」

「やるかそんな事!」


 ライは命の危険を感じ、早急にガイの頼みを断った。

 キルはそれを聞いて、ガイにこう言った。


「じゃあ、一瞬で心と体が暖かくなる方法を教えてあげようか?」

「あてにならないと思うけど…教えて。」


 キルはそう言うと深呼吸をした後、拳をギュッと握りしめ、腹の奥底からバカでかい声を出した。




「うおおおぉぉ!気合いだあああぁぁ!」

「……………」
「……………」


 キルの周りにだけ、うっすらと"気合いオーラ"が見えた。


「…やめて。余計に寒くなったから」

「えー?とても暖かくなるのに…」


 ガイが苦情を言うと、キルは観念して気合いオーラを出すのをやめた。




 
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