my Life!!
佐倉乃学園



「今日から、ママとパパはね、お仕事で海外に行っちゃうの」

「ん・・・」


ある朝、ママとパパは大きなキャリアを2つ持って玄関まで来ていた。


「だから、沙耶は、ママのおじいちゃんの所に行っててね」

「え?」


あたしはおじいちゃんという存在と一度も触れ合ったことがなかった。


「ここに行くの、そうすれば、楽しい生活が待ってるから」


笑顔であたしに言うママ。

もう中学2年生となったあたしには、親が遠く離れたところに行くということは、特別悲しいということもなかった。


「・・・分かった」


そう言って、ママから1キレの紙を受け取った。



「じゃあね、体には気をつけるのよ」

「いってきます」



手を振り、心配そうな顔をするママ、笑顔で余裕をかまえているパパは、ガチャッと音を立てて、扉が閉まると同時に見えなくなった。




そして、あたしは先ほどもらった紙切れに目をまわす。



「・・・遠い」


電車に乗って、1時間、徒歩10分。


ゴールには、「SG」の文字。


ここがおじいちゃんちなのだろうか・・・、一度もママのおじいちゃんの話に触れたことなどなかったもんだ。



ここが、どんなところかも分かるまい・・・。






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