切なさに似て…
私の職場の前に車を着けた信浩は、こちらを見て表情を歪ませた。

「いつまで笑ってんだよ…」

「いや、だってさ?あんな焦った顔初めて見たから」

「…わかったから。早く降りろよ」

そう言われ、私は鞄を肩にかけドアを開けた。


「はぁーい。じゃあ、ばーい」

ドアの隙間から手を挙げる。

「はいよ。ばーい」

怒ってた風の信浩は爽やかな笑顔を作り、私と同じように軽く手を挙げた。


ばーいとハザードランプを2回点滅させ、走り去る信浩の車を見送る。


…ほら、平気じゃん。

ずっと友達でいたから、こうして笑っていられるんだから。


私が決めた選択肢は、間違ってなんか…、いなかったでしょ?


こうして、信浩のあわてふためいた顔も…、見れたんだから。


間違ってなかったんだよ。
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