切なさに似て…
『レナは泣けばいいと思ってるんでしょっ!!泣いたってダメなんだからっ!!』


罪意識なんて綺麗事だ。中学の制服に私服も今までレナは私のお下がりばかりで、新品に袖を通したことがなかったから。せめて、高校の制服くらい真新しくても罰は当たらないだろう。

私に出来ることを一晩考えて出た結論が、これしか思いつかなかったっていうのは、つくづく貧困な脳みそだなと思う。


私が高校にはいる時、お父さんに出させたお金は多少余り、別口座に預けたままだし。

私立と違い公立だし、授業料は免除の申請が通れば何とでもなるだろう。

レナが卒業するまでの3年間くらい、どうせあの家で苦労するなら、2人で苦労した方がずっといい。


それに、3年間は信浩だって帰らないんだから、ある意味好都合だ。そう本人に言えば「どーせ、俺は邪魔物だよ」 ってふて腐れるんだろうけど。

それって、誰かがわざと微妙にタイミングをずらした結果みたいじゃない?


そう思ったら、鉛のように重くのしかかっていた心が、ふあっと綿菓子みたいに軽くなった気がした。
< 303 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop