切なさに似て…
赤茶色のタイルを纏う古臭いマンション。周りを囲む膝下くらいある高さの低い塀に腰をかける。

メールでは『もうすぐ着く』と、たったそれだけの文字を宛にして、まだ帰って来ていないこのマンションに住む主を待っていた。


勢いだけで言ってしまった『明日には』の一言に、ない頭を振り絞り考えてみてもいい打開策は見つからない。


荷物と言っても衣服くらいしかないし、捨てられてもそれほど困らない。

とは言え、着たきり雀ってわけにもいかない。


今はマンションタイプのコンテナルームが増えて来た。

1畳あれば私の洋服類くらい十分納まる。月1万円くらいなら余裕だろうか。


それとも、そろそろ部屋を借りて一人暮らしをしようか…。


…独り暮らしは、まだ。…出来ない。
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