散弾銃プレアデス



「俺には、」


安原が言いかけて口ごもる。既に2人の顔は涙で濡れていた。

どうしようもなく、悔しい。


大切なものを守れない力
弱いものを助けられない力
自分自身に向かい合えない力


歯痒さに千切れそうになる自身の全てを、安原は辛うじて繋ぎ止めていた。




そうして少し時間が経った頃、安原の背中を見つめて呆然としていた少女は、我に返って唇を噛んだ。

「……う、ええ……!」


自身の中で燻る想いを一番に吐き出したのは、小さな天使だった。




< 109 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop