僕は彼女の事を二度愛していた
33
小さなアパートの前に、僕は着いた。ここが加藤の住んでいるアパートだ。と思う。
一度、飲み会の帰りに寄った事はあるけれど、それからは来ていない。だから、加藤が引っ越していたらアウトだ。
まず、駐車場に回ってみる。車があった。
うちの会社は、給料が良い方ではない。そのせいで車を買い換えると言うのは、清水の舞台から飛び降りるより困難な事だ。
「車はあるな。」
前に見せてもらったボロい車が停まっている。
「と言う事は、部屋にいるのか?」
駐車場から加藤の部屋を見上げた。しかし、加藤の部屋のシャッターは降りたままだ。
「寝てるのか?」
時計を見ると、三時を過ぎている。寝てるとも思えないが、一応部屋に行ってみる事にした。
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