僕は彼女の事を二度愛していた
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恵は、まだコピー機の前にいた。
「恵、あんた、まだコピー終わらないの?」
絵里香は呆れていた。
「違うよ。部長に頼まれたコピーは終わったんだけど、ここにいると次から次に頼まれちゃってさ・・・。まだ、お昼も食べてないんですけど・・・。」
もう何人かの社員は、帰り支度をはじめている。
絵里香は更に呆れた。
「バカね。そう言うのは適当に切り上げなきゃ。あと、どれをコピーするの手伝ってあげる。」
山積みになった書類を、絵里香は抱えた。
「ありがとう。これが終わったら、社食で何かおごるよ。」
「うん、そうして。なんてたって、恵にとびきりの情報を持ってきたんだからね。」
「何それ?教えてよ。」
「ダメダメ。今は教えてあげないよ。ちゃんとおごってもらってからね。」
絵里香は、弾けるように笑った。
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