僕は彼女の事を二度愛していた
13
突然、部長に呼び出された。小さな応接室に、僕と部長の二人だけだ。何となくだけど、嫌な予感がした。
「部長、なんでしょう?」
正直言って、僕はこの人が苦手だ。短気にスーツを着せたような、頭の禿げたこの人は何を考えているのか、さっぱりわからない。
「・・・。」
何も言わない。
ますます悪い予感が大きくなる。
「部長?」
「あ、あぁ、すまなかった。で、君を呼んだのは・・・。」
クビか?異動か?どっちにしてもいい話には思えない。
「・・・はい。」
「加藤の事についてなんだが・・・。」
「・・・?」
虚をつかれた言葉に、一瞬、頭が真っ白になった。
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