僕は彼女の事を二度愛していた
17
「なんだよ、あいつ。少しは喜んでくれてもいいのにな・・・。もしかして・・・。」
その時、同じ部署の女子社員が何人かやって来た。
「おい、ちょっと聞いてくれよ。」
「はい、なんでしょう?」
社内の女子で、加藤の噂を知らないものはいなかった。同じ部署なら当然知っている。
加藤に話しかけられ、あからさまに嫌な顔をした。
「これ、これ見てくれよ。」
携帯を取り出し、彼女達に見せた。皆、不思議そうな顔をしている。
「はぁ・・・。」
そんな事を気に出来るほど、加藤は繊細ではない。構わず話を続けた。
「かわいいだろ?この子。女から見ても、かなりかわいいと思うだろ?」
「はぁ・・・。」
「俺さ、今度この子とデートするんだぜ。いいだろ。あぁ、早く日曜にならないかな・・・。」
「良かったですね。じゃ、この書類持ってかなくちゃいけないんで。」
「あ、悪い。話聞いてくれて、ありがとうな。」
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