勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「お兄ちゃん大好き!!」
少女はそう言って俺に抱きついてくる。
不思議な出逢いだった。
一人になりたくて共を連れずにただ遠乗りに出掛けると馬を走らせていた。
程よく走った後川原で馬に水をやるための休憩を取っていた時に現れた少女。
人懐っこい笑顔の可愛い少女だった。
毎日気の抜けない日々の中少女の笑顔は俺には眩しかった。
気がつけば俺は少女に会うために暇を見つけては川原に足を運んでいた。
「名前はなんと言う?」
「紫衣。」
「お前はどこに住んでいるのだ?」
「ここに紫衣のおうちはないの。紫衣はお空の上に住んでるの。」
夢見がちは少女の言葉を俺は呆れながらも楽しんでいた。
「そうか。紫衣は神様の申し子なのだろう。」
柔らかい紫衣の髪を撫で付けながら話す俺に紫衣は唇を尖らせて不服そうに見つめていた。
「どうした?」
不思議に思った俺は紫衣と向かい合うように膝の上に抱いて話しかけた。
「忘れちゃったの?」
「何を?」
「お兄ちゃんが紫衣を呼んだんだよ。助けてほしいって...。」
「俺が?」
助けてほしい?俺が?
この小さな少女に俺が助けを求めたのか?
ありえない話だ。