長閑【短編集】

息子もスイカを手にとった。

「母さん、塩くれない?」

「はいはい。」

「塩?別にそのままでも良いだろうーが。」

息子に甘い女房はすたこらと塩を取りに台所へ戻る。

「全く‥何であいつはこいつばっかり。」

…優しくするんだか。

「それはやっぱり一人息子だから。」

「お前が言うなよ。大体俺は娘が欲しかったんだ。」

俺は息子に背を向けて外の景色を眺めた。


‥また風鈴が鳴った。
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