罪線シンドローム
第二章

閉ざされた世界

「あの子暗いよね……」
「……最近喋ったとこ見た?」
「……てか笑顔すら見たことないけど」


と、クラスメートの子達が、不器用なヒソヒソ声で話す。

それは私、棚田ヨウコという人間の名刺代わり。

「あなたはどういう人間ですか?」

と聞かれたら、私も全く同じ事を口にするだろう。


笑わず、無口で、暗い。


普通ならば、高二と言えば、キラキラと輝いている時期なのだろうが、私は違う。


決して目立とうともせず、列からはみ出す事もない。


陽の光こそ浴びているが、私は深海魚。


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