罪線シンドローム
麗はもう死んでしまったけど、彼女は私に素敵な事を教えてくれた。


「……綺麗……」


窓の外に見えた月が、とても綺麗だという事。


私は夜の外界という未知の世界に、とても惹かれた。

ひんやりとした、澄んだ空気が、月を魅力的に輝かせる。


「外に出たい」


その想いは止まる事なく、私の足を敷居の外へと運ばせた。

いつもは親の縛りを気にして、こんな遅くに外出することはないけれど、今日は違う。


もう誰の言葉も耳に入らない。


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