花火

キミを探して

激しい喉の渇きに目を覚ました。頭は内部紛争を起こしているかの様に所々疼き、胃から食道にかけては、ヘドロでも塗りつけられたかの様な不快感が纏わりついていた。典型的な二日酔いに苦しむ体に、唯一、そよ風の様な寝息が左肩にかかっていた。隣で眠る貴美を起こさぬよう、そっとベッドから立ち上がり、冷蔵庫に向かった。冷たい水が体の中に気持ち良く吸い込まれていった。だがそれも一瞬のことで、直ぐにさっきまでの気持ち悪さが戻ってきた。体はまだ眠りを欲しているが、ベッドに戻る気にもなれなかった。時計を見れば、まだ朝の八時だ。何時間もまともに眠ってなかった。手元にあったタバコを一本引き抜くと、おもむろに火を点けた。一口吸っただけで、今までにない程強烈な吐き気が襲ってきた。体中の細胞が、一致団結して拒否反応を示している様だった。それでも吸い続けたのは、自分への罰のつもりだったのかもしれない。
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