花火
千葉駅で電車を降り、内房線君津行きの電車に乗り換えた。そこから更に三十分電車に揺られると、目的の袖ヶ浦駅に着いた。
そこは小さな駅だった。この駅をモデルに絵を描いたとしたら、『よくある田舎の名も知れぬ駅』という題名を、誰しもがつけるだろう。時間は十二時半、早速駅近くのコンビニに寄ると、周辺の地図と、おにぎりにサンドイッチ、お茶のペットボトルを買った。店先の駐車場の隅に腰を下ろし、おにぎりを齧りながら地図を開いた。どうやら袖ヶ浦周辺には、三つの船溜まりがあるようだ。牛込船溜、新町船溜、堀船溜。先ずは駅から一番近い、牛込船溜を目指すことにした。バス停で次のバスが来るまでの時間を調べると、一時間近くの間があったので、駅前で暇そうにしているタクシーの窓をノックした。
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