恋愛スキル



やっぱ美術室だよな?


俺は美術室のドアを開け中を見渡す。


明かりがついているのに……誰もいねぇ。


準備室のドアが開いている事に気付いた俺は、美術室を突っ切り、準備室を覗くが……。


浅利の荷物はあるのに、ここにもいねぇ。


便所にでも行ってんのか?


俺は仕方なく浅利を待とうと椅子にドカッと座り、ふと、デスクに置かれた小さなカレンダーに目を向ける。


赤マルがされた日にちを見ると、あの日の出来事が鮮明に思い出してくる。


まさか、春瀬と浅利が……。


別れた事も知らなければ、付き合っていた事さえ気付かなかった。


理想の彼女は春瀬だと言っている圭が聞いたら、すげー凹むだろうな。


確かに美人だし、金持ちのお嬢様って感じの春瀬は、男子生徒は勿論、女子達からも憧れの眼差しを受けている。


彼氏がいたっておかしくねぇ。


まぁ……俺にとっちゃどーでもいい話だけど。



そんな事を暇に任せて考えていると、


トントン。


「浅利くん?」


ドアが開いて俺は慌てて、椅子から飛び降りた。




< 153 / 168 >

この作品をシェア

pagetop