恋愛スキル


俺達には、さも気持ちが分かるような……イイ顔しといて……



実際はどーなんだよ……



緋乃の……



真剣な気持ちはどーなんだよ……。



「待て!長澤!話を聞け!」


浅利に腕を掴まれ、俺が思いっきり振り解いた瞬間、アイツの身体はフラッとよろけた。


「郁斗!!そんな身体で駄目よ。私の車で帰りましょ!?」


絶妙なタイミングで春瀬が走って来るなり、倒れかけた浅利に引っ付く。


「長澤君はもういいから帰りなさい」



俺は無言で軽く頭を下げると、全速力で校門をあとにする。



バッグの中には、行き場を失った羽根の封筒が

息を潜めてずっと待っていた。



アイツのもとに届く事を信じて――――。




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