恋愛スキル


無言で俯く彼女。


「大丈夫。長澤は試合近いんでしょ?練習遅れたらマズイじゃない?」


そう強引にバッグを俺から奪い返すと、ふらふらと再び歩き出した。



呆然と、俺は緋乃の後ろ姿を見ていた。


断られた事にも驚いたけれど、

あいつの口から“長澤”って言われた事の方が俺にはショックで。



そっか……



あいつの中の俺は、大輔って呼ばれてた頃の俺じゃなくなったんだよな……。



幼なじみだった俺は、もう消えちまったんだ……。



俺はジャージに着替えると、荷物を肩にかけ体育館へ走り出した。



< 17 / 168 >

この作品をシェア

pagetop