恋愛スキル



声が聞こえた気がした。


浅利の声と…


花火の音にかき消されるその声を、必死で辿って行く…。



社の裏を見た時、俺は自分の目を疑った。





まさか…



浅利ともう一人の女の陰が重なり合う。


浅利がキスをしていたその相手は、
B組担任の春瀬淘子(ハルセ トウコ)だった。


俺はとっさに壁に隠れた。


「悪いけど、俺達もう、そういう関係じゃないだろ?」


「そんなに…あの子の事が気になる?」


春瀬の声が聞こえる。
悲しそうな…そんな声が。



―――あの子。



俺は、春瀬が発した“あの子”の正体が気になり、浅利の返事を待った。




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