薔薇の欠片
溺れる事も唄う事も知らない
僕は彼女の家へ忍びこんだ。
彼女に止めを刺してもいい頃じゃないかと思っていた。
これ以上近づいたら、
余計な感情をはさんでしまいそうだ。
運良く、
彼女が眠っていたら僕が止めを刺す。
だけど、彼女の部屋と思われる2階を覗いても彼女はいなかった。
僕はしばらく待ってみる。
すると、ドアを開けて入ってくる彼女が窓越しに見えた。
僕はとっさにすぐ目の前に立っている樹の枝に隠れた。
彼女は僕に気づいておらず、そのまま窓を開けて夜風に当たっていた。
物憂いし気な顔をして、
なにかを考えていた。
いや、想っていた。
誰を?
……誰を。
もしかしたら、