薔薇の欠片

鏡面越しの二人の姫君



次の日、突然に百合はやって来た。



「久しぶり、憂」



私の部屋に入ってきたかと思うと、

いきなり座り込んでテーブルに置いてあったポットでコップに紅茶を注いだ。



「いい香りよね」



そう言って、紅茶を一口飲む百合。


ベッドに座っていた私も降りて、百合の隣に座り紅茶を注ぎ一口飲んだ。



「本当、いい香り……」



私は紅茶の香りと混ざって、もう一つの香りがした。


私は隣に座る百合を見て言った。



「香水?」


「……あ、うん。そうそう」



百合はしまったと言う顔をして、私から顔を逸らした。

< 76 / 201 >

この作品をシェア

pagetop