薔薇の欠片
僕は洋館に帰ると、ベッドに倒れこんだ。
血も飲み終わってだいぶ機嫌がいい。
僕はベッドで少し考えると、外へ出た。
辺りは薄暗くなっていてあと3時間位できっと日が出てくるだろう。
空を見上げれば、満月が出ていた。
太陽は嫌いだけど月は嫌いじゃない。
人間は夜を嫌う。
何を根拠に言っているのかはわからないが、
夜は悪を包むというイメージがあるらしい。
僕はその逆だ。
日が出ている時こそが僕にとっては“悪”だ。
太陽が正義だと、いつ決めた。
太陽は僕らを殺すことだってできるのに。
日の下で暮らしている人間は、敵だ。
肌寒い風が通りすぎると、僕は洋館に戻った。