コンビニラブ
「なんで?」

「あたし、買いたいの見つけたから、コレは伸治くんにゆずるよ!」

「いーよ、別に俺。」

「だって気に入ったんじゃないの?ずっと見てたじゃん!」

「…買わないよ。まずあの部屋にコレ、合わねーだろ。(やっぱ感覚おかしいかも、こいつ。)」

するとそこへ、

「へー。伸治くんの家、行ったことあるんだ?!」

ふたりのやり取りを聞いていた吉野が言った。


「さっきから価値観も合うみたいだしねぇ」

「なに言ってんすか!一緒にしないでくださいよ!」

「それはあたしのせりふです!」

「まあまあ、そんなに否定しなくてもいーじゃん。まるで、真意をつかれたみたいにさぁ。」

「はぁ?!」
「は!!」

声が揃ったふたりに

「ほら、息もぴったりだ。」

サラッと言った吉野は、
ふら〜っとその場から離れて行った。



「なによ?」

「べつにナンも!」

そして二人は、それぞれ違う方向に歩きだす。


アンは迷いながらも、なんとかレジへと向かう頃、
吉野もついでに、組み立て式の棚を買っていた。


「今日の買い物、吉野くんが言い出しっぺ?」

「計画的な、ついでです。」

「うまいな〜。」

「伸治くんも、世渡り上手にならないと。ね!」

「努力してなれるもんですかねぇ?」

< 65 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop