いわし雲のように【SS集】

 彼はつい今しがた、世紀の発明を完成させた。

 その名も、


『理想夢枕』


 これはその名の通り、理想の夢を見ることの出来る枕だ。

 使い方はいたって簡単。自分の見たい夢を頭に思い描きながら眠るだけ。

 しかも、よくある“いいところで目が覚める”ことがないようにする機能までしっかりとついている優れ物。

 つまり、好きなだけ、好きな夢を見ることが可能なのである。

 彼はあまりの自分の天才ぶりに震えが止まらなかった。

 そして、彼はそれを使い──




 永遠に夢の世界から戻ることはなかった。


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