夏恋~君といたNatu~
1.出会い
カリカリカリ・・


机に向かってシャーペンをカリカリとはしらせ、時折ノートとにらめっこを繰り返す。
そんなことを1時間弱していると、PM8:00にセットしておいた時計のアラームが部屋に鳴り響いた。

ピピピピピ・・・

シャーペンを机の上に置くとアラームを止め、教科書とノートを閉じると大きく腕を伸ばし一つ欠伸を吐いた。

「ふぁぁあ…。やっと数学の予習が終わったよー。かったる~~~。」

別に好きで勉強をしているわけではない。
ただ勉強しないと親がうるさいし、単位を落としたくないだけ。
たったそれだけの理由。
あたしだって、みんなみたいに普通にお洒落だってするし、友達とー緒に遊んだりもする。
ただ見た目が真面目にみえてしまうから、まともに恋愛なんかしたことがない。
全部あたしの片思いで終わるパターンだ。
だから男子に告白したこともないし、されたこともない!
一体あたしはこの16年間どういうふうに生きのびてこれたのだろうか??
そう自分の人生に悩んでいると、ー階から母さんがあたしを呼ぶ声が聞こえてきた。

「サラー。晩ご飯ができたわよ!」
「わかった!」

母さんはいつもこの時間帯に晩ご飯を作ってくれる。
おおよそ、あたしがー生懸命勉強に取りくんでいるだろうという心遣いだろうがあたしにとっては余計なお世話だ。
こっちは毎日学校の勉強でクタクタに疲れて帰ってきているというのに、20:00までご飯を食わさない親がどこにいるというのだろうか!?
ぶつぶつと文句をつぶやきながら一階に降りていくと、六人がけのテーブルの上にはあたしの晩ご飯だけが置かれていた。

「父さんは…?」
「先に食べて今お風呂に入ってるわよ。」
「ふぅ~ん…。」

椅子に腰をかけると、目の前に置かれているご飯を無言ではしを進めた。

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