『短編集』

「うせん、だって」


「まだ“ゆ”って字が書けなかったのよ」


「わいてうこって何?」


「“れ”も書けなかったんじゃない?

冷蔵庫のつもりでしょ」


お母さんと二人で、

顔を見合わせて笑った。


「良かったわ。

またチョコをあげたい人ができて。

あれ以来、バレンタインに見向きもしなくなったから」


お母さんの言葉に、

これは友チョコです、って言えなくなった。

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