REGRET ―忘れられない人―

見送り




今日は兄貴と直さんが新婚旅行へ出かける日だ。


見送りがてら、空港まで俺が車で送ることにした。



ま、兄貴への感謝の気持ちってことで。



「誠人、お前かわいくなったなぁ」


兄貴は、運転する俺をからかってくる。


「たまたま暇だったんだよ。うるせーな」



何泊するんだっていうくらい直さんの荷物は多かった。


女って荷物多いんだよな。




「誠人さん、本当にありがとう」



後ろの席から直さんが俺にお礼を言う。


俺は兄貴に話していた声より数倍優しい声で答える。



「いえいえ、いいっすよ。俺で良ければいくらでも使ってください」



爽やかな俺。



「お前なぁ、直にだけキャラ変わるよな」



兄貴はあきれたように笑う。






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