REGRET ―忘れられない人―



すっかり俺のことなんて忘れてるだろう、なんて奈美には言ってるけど、実は覚えてくれているだろうって期待している。


だってさ、俺がこんなに忘れられないんだから。


きっと花帆にとってもあの時間は大事なものだったんじゃないかって。




奈美のおかげで止まっていた時計が動き出したような感じ。




「お前、どうしてそこまで俺に協力すんの?」



奈美は電話の向こうで、別に意味はないよって笑った。



俺にはわかる。

奈美も忘れられない人がいるから。



だから俺の気持ちが痛いくらいにわかるんだ。


意地っ張りで、素直じゃない奈美は、どこか俺と似ているから。





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