REGRET ―忘れられない人―
「悪かったな。俺のせいで辛い思いさせて」
「そんなことない。嬉しいことの方が多かったよ」
肌寒くなってきたことをいいことに、俺は少し花帆の方に寄ってみた。
肩と肩が当たる距離。
「机の落書き消してくれたの、誠人だよね?」
知ってたんだ、花帆。
何も答えない俺に、花帆はありがとうと言った。
「あれから、誠人は誰かと付き合った?」
肩を寄せ合ったまま、花帆が顔を覗き込むもんだから俺のドキドキは最高潮で、また顔が見られなくなった。
「いや……中学では誰とも付き合ってねぇな。高校でもかなりお前のこと忘れられなくて」
「でも、彼女いたんでしょ?友達から聞いて、すごいショックだった」
高校に行ってからの俺のこと、花帆が気にしてくれていたなんて知らなかった。
俺たちはずいぶん、時間を無駄にしていたんだな。