REGRET ―忘れられない人―



「悪かったな。俺のせいで辛い思いさせて」



「そんなことない。嬉しいことの方が多かったよ」




肌寒くなってきたことをいいことに、俺は少し花帆の方に寄ってみた。


肩と肩が当たる距離。



「机の落書き消してくれたの、誠人だよね?」



知ってたんだ、花帆。


何も答えない俺に、花帆はありがとうと言った。




「あれから、誠人は誰かと付き合った?」



肩を寄せ合ったまま、花帆が顔を覗き込むもんだから俺のドキドキは最高潮で、また顔が見られなくなった。




「いや……中学では誰とも付き合ってねぇな。高校でもかなりお前のこと忘れられなくて」



「でも、彼女いたんでしょ?友達から聞いて、すごいショックだった」




高校に行ってからの俺のこと、花帆が気にしてくれていたなんて知らなかった。



俺たちはずいぶん、時間を無駄にしていたんだな。




< 81 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop