REGRET ―忘れられない人―



中学の頃、俺は花帆となかなかキスできなかった。


他の子とはすぐにできたことが、花帆とはできなかった。



手を繋ぐことも、肩を組むことも、寄り添うことも……

全然できなかったけど。



それは、俺があまりにも花帆を意識しちゃっていたから。



他の子にはできるのに、花帆にはできなかった。


花帆は、俺よりも大人っぽく見えた。


ガキな俺が、キスなんかして、嫌われるのが怖かった。




でも、何度も考えた。



手、繋ぎたいな。

肩、抱いてみようかな。


キス……したいなって。




何度か挑戦したこともあったんだぞ。


気付いていなかったけど。



学校帰り、夕焼けを見上げる花帆の横顔を俺はじっと見つめていた。




あの時、勇気を出して、キスをしていたら……

俺達はどうなっていたんだろう。





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